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第164回 保団連四国ブロック会議決議

 

 長く続く政府の低医療費政策に加え、コロナ禍以降も求められる感染対策に要する経費の増加や物価高騰により、多くの医療機関の経営が悪化している。2024年度診療報酬改定での大幅な引上げがなければ、多くの医療機関は地域住民に十分な医療を提供することができず、多くの住民の命と健康を守ることができない。また、従業員の賃上げ、処遇改善を行うことはできない。

 このような状況にもかかわらず、政府・財界はコロナ禍において医療機関への補助金交付等により黒字化しているとして、診療報酬引き上げの要求を真っ向から否定している。そればかりか、年明けの通常国会に向けて、薬剤の自己負担の引上げ、介護保険における施設の多床室の室料負担導入、介護保険料・利用料の引き上げ、後期高齢者医療制度における「現役並み所得」の判定基準の見直し等、さらなる患者・利用者負担増、給付抑制を行おうとしている。

 さらに政府は、現行の保険証を廃止し、事実上マイナンバーカード取得を強制し、医療現場が考えている医療のデジタル化とは異なる医療DXを推進するとしている。背景には、IT・デジタル産業への莫大な利益と国が収集した医療データを含む個人情報の提供があることが明らかになっている。

 社会保障費の抑制に余念がない岸田政権は、一方で2023年度から5年間で防衛予算を43兆円確保するとして、23年度予算では6兆8 219億円、24年度予算では7兆7 3 8 5億円を計上し、米国製武器の大量購入を明らかにしている。抑止力の強化を理由としているが、軍事力による抑止は平和をもたらさず軍事的緊張を高めることになる。そればかりか政府は、自衛隊の米軍との一体化、南西諸島・九州の軍事基地化を推し進めており、地域住民を不安に陥れている。そのような中、11月29日には屋久島沖で米空軍所属のCV-22オスプレイが墜落した。しかし、日米地位協定により日本はアメリカの同意がない限り、捜査差し押さえをする権利を行使できない。

 防衛予算の急激な増額は大幅な増税を伴う。岸田政権はこの増税から国民の目をそらそうと減税の打ち出しに躍起になっており、露骨なやり方に多くの国民から批判がおきている。

 今、政府に求められていることは、コロナ禍でも内部留保をため込む大企業に応分の負担をさせ、物価高騰に苦しむ市民や中小零細業者の生活と生業を保障し、消費税減税やインボイス制度の廃止等の抜本的な負担軽減を行うとともに、医療・社会保障を充実させ生活の下支えを行うことである。

 わたしたちはいのちと健康を守る医師・歯科医師として、日本のさらなる防衛予算の拡大を許さず、社会保障の充実で安心・安全な社会をつくるため、以下の要求を実現するため 奮闘する。

一.新興感染症に備えるためにも医療費抑制政策を転換し、公衆衛生体制や医療提供体制を抜本的に強化すること。一部導入が議論されている減収補填についてすべての医療機関を対象とすること。

一.診療報酬・介護報酬を引き上げ、不合理是正を行なうこと。

一.保険でより良い歯科医療実現のため、保険適用範囲を拡大し、歯科技術料と歯科技工料を正当に評価するとともに、金パラ等の歯科医療材料を国の責任で安定供給し、差損が生じないようにすること。

一.消費税を減税するとともにインボイス制度を中止し、医療にはゼロ税率を導入して医療機関の控除対象外消費税負担を解消すること。

一.高すぎる国保保険料や介護保険料を引き下げること。

一.一部医薬品の高薬価を是正するとともに、国の責任で日常診療に不可欠な医薬品の安定供給を行うこと。

一. 医療現場に混乱をもたらし、患者にも医療機関にもメリットのないマイナンバーカードによるオンライン資格確認の導入義務化と保険証の原則廃止を中止すること。

一.日本政府は、平和憲法に基づき、あらゆる武力紛争が平和的に解決されるよう外交努力を行うこと。

以上

2023年12月10日         

保団連四国ブロック協議会     

徳島県保険医協会 香川県保険医協会

愛媛県保険医協会 高 知保険医協会