ホッと一息photograph[徳島県保険医新聞2023年7月号掲載]
『初夏の彩り』
梅雨時期は気持ちがうつうつとしますが、雨の日でも紫陽花は良い被写体になってくれるのでありがたいです。毎年いろいろな場所で紫陽花を楽しんでいます。
この日は朝日が差しこむ時間帯を狙って、徳島植物園のアジサイ小道に行きました。木陰にひっそりと咲く紫陽花が奥ゆかしくて可憐でした。期待通りに朝露が日の光に輝いてくれて思いどおりの写真が撮れました。この3年間、コロナ禍で重苦しい期間も、人の少ない自然の中で静かに被写体と向き合う時間が、「ホッと一息」つけるひとときでした。
くどう内科クリニック 工藤美千代
ホッと一息photograph[徳島県保険医新聞2023年6月号掲載]
写真①
写真②
『四半世紀以上を経て』
25年以上も前、子供と一緒に絵画教室に通い油絵を習っていた時期がありました。題材は教室に積んであった沢山のカレンダー写真の中から気に入ったのを選びました。
写真①は、向かいの山の上に出た月の光に煌々と照らされ白く輝く樹氷林、そしてその奥からS字状に小川が流れて手前の池に流れ込むという構図。撮影者や場所もわからないままにせっせと描きこんだ絵です。しかし、頭のどこかにこの場所を知りたいという気持ちは残っていたのでしょう。
とうとう見つけたのです。2022年9月27日、上高地の田代池にふと立ち寄った時に「アッここだ!あの油絵で描いた場所だ!」(写真②)。四半世紀以上を経てようやく辿り着いた瞬間でした。写真に収めることで、あの感激をいつも身近に残しています。
善成病院 善成敏子
ホッと一息photograph[徳島県保険医新聞2023年5月号掲載]
『鴛鴦 オシドリ』
野鳥撮影をはじめて3年ほどになります。オシドリのオスは、日本一カラフルな水鳥と言われており、じっとしていると美しい陶器の置物のように見えます。
開けた水面に出ることは好まず、山間の渓流や山地の湖などに生息し木陰に隠れるようにしていることが多いため、遠くでやっと見えるくらいで野生できれいにオシドリを撮影することはできていませんでした。
保険医協会の写真教室で撮影旅行として神戸の王子動物園に連れて行っていただき、初めて、間近でオシドリのカップルを見ることができました。
ふじの小児科クリニック 藤野佳世
ホッと一息photograph[徳島県保険医新聞2023年4月号掲載]
『幸せの青い鳥ルリビタキ』
オオルリ、コルリそしてルリビタキが青い鳥の御三家です。オオルリ、コルリは夏鳥ですが、ルリビタキは冬には低山地から平地で見られます。ルリビタキの雄は鮮やかな青色だけでなく、脇の辺りにはオレンジ色も見えます。
2月中旬に低山地に行った時のことです。餌になるかと思い、ミカンを持って行って山側の木の枝に載せ置きました。するとルリビタキが飛びだしてきました。こちらを向いて尻尾をピコピコと振り、ありがとうと挨拶してくれたようでした。見ると私も幸せな気分になりました。
藤野医院 藤野和也
ホッと一息photograph[徳島県保険医新聞2023年3月号掲載]
『仁淀ブルーもどき』
昨秋、県職員のリフレッシュ休暇を利用して、念願だった”タイムトラベル”に行ってきました。幼少期の思い出の地を巡る旅です。一昨年他界した父の人生をたどる旅でもあります。祖父が結核で早くにリタイアしたため、父は若いときから家族5人を養わねばならず、大学での無給医局員生活とは無縁で、保健所長として農山村の結核検診を熱心にやっていたようです。検診の疫学研究で学位をいただきつつ、30代の8年程を高知県の保健所や診療所で勤めていました。父とは30歳違っていましたので、生まれたときは山川町におり、9歳で徳島市に帰ってくるまで父の勤め先であった土佐清水市、本山町、吾川村(今は仁淀川町)名野川と転々としました。(私も30代は 病理、眼科、ゲノム研などを転々としましたので、図らずも血は争えないです。)
50年以上経ってどうなったか。土佐清水市の家(官舎)は公園になり、本山町では家の大体の場所がわかる程度で、近くで保健所跡地の表示を見つけました。自宅の母の記憶をたどり、スマホで写真を送りながら探しました。便利な時代です。名野川では驚いたことに木造2階建ての家はそのままあり、古びて荒れていましたが1月前まで住んでいる人がいたと聞いて二度びっくり。診療所はなくなっていました。小学校は立派な建物でしたが2012年に閉校。通りは寂れ、商店は残っていませんでした。
名野川は仁淀ブルーで有名な中津渓谷の入り口にあり、小学校の運動場が駐車場でした。仁淀ブルーには午前の光が良いそうですが、写真は午後になってしまい”もどき”です。
今でも山の上の方まで人家があり、往診に登っていく遠くの父の小さな姿を思い出しました。
徳島県立中央病院 工藤英治
ホッと一息photograph[徳島県保険医新聞2023年2月号掲載]
『ハンターの目?』
子どもが成長してからは、とんと訪れることのなかった動物園に行ってみました。コロナ禍でイベント減少や季節の花々もない時期には、写真の素材に動物園や水族館もおもしろいと教えていただいたからです。フクロウの檻を覗くと静かにこちらをみる目。ふかふかとした周りの毛が美しいことに写真を拡大して気づきました。両目が正面をむいているため、人の顔に似て親しみを感じます。立体視ができ、獲物の距離感の把握にも役立ちます。大きな瞳で光を取り入れ、目の奥の視細胞は明暗を感じる桿体細胞が多く、夜間の狩りに適した究極の目です。
徳島健生病院 西内貴子
ホッと一息photograph[徳島県保険医新聞2022年12月号掲載]
『かむろぎく』
今年は久しぶりに何ヶ所かの花火を見に行きました。写真は吉野川市納涼花火大会のものです。初めて行ってみましたが、どの方向に、どのくらいの大きさで、どの高さまで上がるのか全くわかりません。遠いと思い望遠レンズを装着していると、視野からはみ出すこともあります。放送も聞こえず、いつ終わるのかもわからず、一瞬のことなのでピント合わせも一苦労です。まあ、わからないことだらけですが、打ち上げ花火撮影は心を浮き立たせ、楽しく夢中になれるひとときです。
写真の花火は冠菊(かむろぎく)と言われ、花火大会の終盤に打ち上げられることが多いそうです。しだれ柳とも呼ばれ、大きな花を咲かせて尾を引いて垂れ下がり余韻のある花火です。長岡や大曲などの有名花火大会を一度は見に行きたいものです。
川島病院 西内健